都知事選が近づいてきた。
コロナ禍でそれどころじゃない、かもしれない…
世間では、現職・小池百合子氏の圧勝と言われている。
東京のコロナ対策はまずまずの成果は出てる、
そもそも、誰が当選しても結果は同じでは?!
『面倒だから、とりあえず、現都知事の小池百合子でいいや…』
という人が大半なのではないだろうか?
ここへ釘を刺したのが、この本、石井妙子著『女帝 小池百合子』(文藝春秋)発行して1か月で20万部突破!
友達に勧められて読了。
一気に目が覚めてしまった…
世評通り、このまま彼女が圧勝し当選しては、東京がヤバいことになるのでは…
『面倒だから、とりあえず』という理由で現職の彼女に一票入れるのは、事実を知ってしまった以上、到底できなくなってしまった。
目次
虚構に生きる
嘘で塗り固めて、ここまでのぼりつめてきたことは明らかだ。
彼女の生い立ち、育った環境、親、特に父親の生き様をたどれば、その虚は、歴然。
貧しさからさんざん味わったみじめさからの脱却、その執念だけで這い上がってきたことは、理解できる。
ただ、あまりに陳腐な嘘を堂々と言い放ち、あの手この手を使ってやり過ごそうとする度胸に、誰もが驚愕し、あっけにとられているうちにまんまと飲み込まれてしまう。
カイロ大学を首席で卒業…
彼女のアラビア語が嘘だと証明している。
学歴詐称は選挙法違法だ。
6月8日、カイロ大学は正式に彼女が卒業していることをわざわざ学長の名で声明を出している。都知事選を前に学歴詐称が騒ぎになることを見込んで、だ。
この本では、これまでの政治家としての彼女の言動、生き様が取材や証言者のインタビューをもとに語られている。
それを読むと、圧倒的な倫理感の欠如、表と裏の顔のギャップが強烈すぎてかえって、彼女の哀れさ、が浮き彫りになる。そんな哀れさもあり、気を取り直して過去よりも、都知事として、今、彼女の実績で判断しようと試みる。
今回のコロナ対応はどうだったか?
メディア上での彼女の立ち振る舞いだけで、任務を立派にこなしているように見えた。
これこそが彼女のマーケティングと圧倒的なパフォーマンス力。
それは彼女のいつもの手だと知った。
出し抜くことが得意で、それらしい言葉としぐさを使ってメディア上で目立つことが上手だからだ。
本書で述べられている通り、彼女が掲げた7つの公約もまったく守られていないのも事実。
築地市場の移転問題が良い例。抜本的な解決作もなく、うやむやに予定より2年遅れて豊洲に移転している。
パフォーマンスだけで政策力のなさ。
彼女は、その責任を、得意なパフォーマンス力で、人のせいにして、難なくやり過ごしてしまう。
罪悪感などこれっぽちもない。
『女』と『メディア』を利用してのし上がる術
政治という男性社会、それも2世3世がはびこる世界で、なんの後ろ盾もない女性が男性と対等に渡り歩くことは至難の技だ。
100歩譲って、その苦労はうかがえる。
が、同じ女性として、本で語られるようなやり方には、まったく共感ができなかった。
よくも悪くも女性という立場をうまく利用する彼女の術が、言葉が、書かれている…
参考にもしたくない。
平成から今までの政治が見える
本作は、この20年の政権の歩みを振り返られる。
まさにあの時、政治の舞台裏で何が起こっていたのかを、彼女を通して語られるので、人間臭く、とても面白い。
がぜん、政治にも興味がわいてくる。
メディアを通じて、実態は歪曲される。
その演出力、公約を果たせなくとも、なんなくこなすパフォーマンス力、この素質こそが、まさに現代の政治家、たる所以だと気づかされる。
まとめ
本作で彼女の化けの皮ははがされた。
そんな現職の都知事を、今回の選挙で、どう受け止めるか、我々は試されているようだ。
では、誰に票を入れるのか?
ホリエモン新党は客寄せパンダといったところか。
ホリエモン本人は「東京改造計画」という本を出している。
現実的に、当選することよりも、日本人特有の政治への無関心を問題視し、無関心からの脱却を狙っているようにうかがえる。
れいわ新撰組はタレント上がりの山本太郎が立候補。
都の職員たちは、「タレント上がり=世間の注目をあびることが目的」と捉えているよう。現職の小池百合子氏がいい例で政策はそっちのけで目立つことしかしないからだ。
タレント上がりに振り回されることに、うんざりしていることだろう。
残るは野党からお墨付きのお年寄りか、日本維新の会の若手か…
本作は、都知事選に興味をわかせてくれる。
先日もyoutubeで主要な候補者たちが討論をしている。あるメディア関係者は、この討論を観て現時点でいろんな意味で力のある小池百合子氏を恐れて、かなり遠慮がちな質疑に終わっていると嘆いていた。
個人的には、今回の選挙戦を、すでに20万部突破したある種の暴露本を前にして、
彼女がどんなパフォーマンスでかわしていくのか、とても楽しみだ。
同時に、いつにもまして真剣に候補者たちと向き合おうと思う。