今、アメリカ人女優のグフィネス・パルトロ―が面白い。
先日、コロナ感染予見映画として注目された『コンテイジョン』(2010)を観た。第一感染者の役としてグフィネス・パルトロ―が出演。とにかく、目も当たられないほど、哀れな役。感染、不倫、冒頭10分で変死。検死の描写がえぐい。感染の恐怖を表す大事なシーンなんだろうが、死に顔が映ったまま、頭皮をはがされた上、脳を見た医者が顔色を変える…
映画の詳細はサイト cineカエル 映画『コンテイジョン』をご覧ください。
「こんな汚れ役をよくぞ、引き受けたもんだ」と彼女に興味を持った。
実は、今、かつてのオスカー女優は、なにかと話題だ!
オスカー女優の肩書に縛られず、興味の赴くままに生きることを発信する姿に、特に女性たちの共感を集めている。
主な理由は3つ。
1.昔から自由奔放?!今は『変人』ぶりが共感を呼ぶ?!
2.オスカー女優からライフスタイルブランド「goop」創設、一大産業を築く
3.Netfilx『グウィネス・パルトローのグープ・ラボ』(原題”goop lab”)タブーへの挑戦
面白いのが、彼女の姿から、現代人が求める"ウェルネス”が見えてくる。
そして自分のウェルネスは何か、考えさせられるのだ。
目次
昔から自由奔放?!今は『変人』ぶりが共感を呼ぶ?!
彼女は90年代、ハリウッドスターとして一世風靡した。細身でそれほど美人ではないけれど、雰囲気や上品さ、育ちの良さが魅力だった。
恋の遍歴、人間関係、が半端ない!
ブラッド・ピットとの婚約と破局、ベン・アフレックの破局、クリス・マーティン(コールドプレイのボーカル)との離婚、敬愛したマドンナと決裂、親友のウィノナ・ライダーと絶縁…
ウィノナとの絶縁に関しては、そうとうメディアを賑わした。オスカーを受賞した『恋に落ちたシェイクスピア』の役は、もともとウィノナにオファーが来ていたものを、グフィネスが盗ったことが原因と言われている。ウィノナを擁護する派が圧倒的に多かったようで、この件で、金持ちビッチとしてレッテルを貼られることになる。
そんな話を具体的にグフィネスの人間性や不思議な魅力について焦点をあてた記事がある。
『グウィネス・パルトロウが気になってしょうがないこれだけの理由』
私たちは決してグウィネス・パルトロウに共感できないけれど、だからといって彼女のことを好ましく思わないかといったら、それは違う。
(i-D By Philippa Snow; translated by Ai Nakayama |08 January 2020)
2019年の彼女の挙動がおかしかった、まるで、変人の領域に達したかのように自らをいざなっていた、と。そして彼女を「WASP星から来た宇宙人」とまで言わしめている。
世間知らずのお嬢様の挙動不審な行動が、年を取るにつれ、ユーモアを身につけたようだ。
とにかく、ぶっ飛んでいる、らしい…
完全にずれている、かっとんだ発想を本人はいたってまじめに提案・発信する、そこが、ライフスタイルブランド「goop」を立ち上げ、大成功した秘訣のひとつのようだ。
オスカー女優からライフスタイルブランド「goop」を立ち上げ、一大産業を築く
goopから、This Smells Like My Vagina(私のヴァギナの香り)という名のフレグランスキャンドルが発売された。1個75ドル。決して安いとは言えない。ただのロウソクと考えると高級品だ。一体、誰が買うのだろう…
なんと、即完売!!
gooperというファンがこぞって買うらしい。なにせ「Goopサミット」と呼ばれるワークショップの参加費は2000ドルというから恐ろしい。goopでは、不思議で怪しい、とても信じがたい情報、それらを彼女の感性で商品化してしまう。
ある意味うらやましい…
2008年に自身の問題解決の場所として立ち上げたサイトが、今じゃ、約200人の従業員をかかえ、資金調達では2億5000万ドルの価値があると評価されるまでに至っている。
庶民は、桁が多すぎて実感できない…
当然ながら、批判の目にさらされる。女優業で、そこは慣れているだろう。だが、商品で訴訟問題が起こり、相当痛い目にあっている。
2017年、goopで「翡翠の卵」と「ローズクオーツの卵」という商品を発売。この卵を膣の中に入れると「性的なエネルギーを高め」「ホルモンのバランスを整え生理のサイクルを正常にし、膀胱のコントロール力が増す」1個66ドル。オレンジカウンティの検事局はこの商品の効能に「科学的な根拠がない」と告発。14万5,000ドルを支払うことで示談成立。(2018年)
この卵が良い例で、彼女は、女性の性、オーガズム、性欲に関しては、こだわりがあるよう。多くの女性がヴァギナを汚いものと認識していることに対して啓もう活動を積極的に行っているのだ。
訴訟問題で相当バッシングを受けたはず。goop存続も危ぶまれるほど、ニュースとして飛び交っていた… が、彼女はぜんぜん、懲りていない。
さすが宇宙人。
Netfilx『グープ・ラボ』の彼女を観ていると、かえって、面白みが増すのが不思議だ。
Netfilx『グウィネス・パルトローのグープ・ラボ』(原題”goop lab”)タブーへの挑戦
グープ・ラボとは?
何かと話題のつきないグフィネスのgoopに、Netfilxが目をつけないわけがない!固定ファンが何百万といるgoopとのコラボ企画。話題性は抜群で成功は間違いない!
番組ではグフィネス本人とgoop コンテンツ責任者のエリーゼ・ローネンをはじめ、スタッフたちが、ウェルネスメソッドを探求し自らが体験・実験する。goopが謳う”ウェルネス”を求める人の探求心をうまくくすぐっている内容だ。
エピソードを紹介 1.心を癒すトリップ 2.冷やされて癒される 3.わたしたちの快感 4.ヘルススパン改善計画 5.エネルギーがもたらす効果 6.実はあなたも超能力者?
面白いエピソードは、
1の『心を癒すトリップ』。幻覚キノコを使った心理療法。キノコの力を使って抱えているトラウマを幻覚として表に出して癒していく… どんな風景が見えるのか、試してみたくなる。
女性としては、特に3の『私たちの快感』は興味ないはずがない!
オーガズムを自然のこととして肯定し推奨する団体でのワークショップ。グループで真っ裸になりお互いのヴァギナを見せ合ったり、自分で"イク”方法を導いてくれたり… その様子をみていると、タブー視している自分がいて、とても居心地が悪くなる。
しっかし、すごくリアルで面白い。
笑えるエピソードは、2の『冷やされて癒される』だ。極寒の中、外で水着1枚で体操したり、湖に飛び込むというワーク…
聞いただけで遠慮する。
それを、goopのスタッフが体験。そのうちの一人、編集長の彼女は、見るからに神経衰弱で痩身。このワークに参加したいと手を挙げた心中を察する。番組中、どれだけストレスな毎日を送っているかをグフィネスに吐露する。それが、あまりに滑稽だ。そこまで重責を負わせているのは、何を隠そうグフィネスだからだ。
そんな事情を初めて聞かされるグフィネスの顔ったら… まるで他人ごと!薄笑いさえ見えるぞ。さっすがお嬢様!
ただ、その極寒療法で、神経筋弱からくる発作はおさまったそう。落としどころは外さない!
予告編
そもそもウェルネスって?
とにかく、goopはウェルネスを推奨しているのは分かった。ウェルネスビジネスは、462兆円の産業で、ますます発展すると言われている。
本当のところ、ウェルネスって何を意味するのだろう?
健康を身体の側面だけでなくより広義に総合的に捉えた概念で、米国のハルバート・ダン医師が『輝くように生き生きしている状態(1961)』と提唱したのが最初の定義。
(略)
健康は手段・ベースであり、豊かな人生、輝く人生を目指している過程こそもウェルネスであり、より広い健康観を超えた「生き方」「ライフスタイルデザイン」、そして「自己実現」を表しているもの
健康面、精神面、自分らしい豊かな人生を目指していくこと。つまり『自己実現』が、今の時代のウェルネスを意味している。ただし時代の変化とともにその意味もかわっていく。
グフィネスは、まさに、goopを使って、好奇心のおもむくまま自己実現している。彼女は、一般人である我々の理想のライフスタイルを送っている。goopを通じて彼女が使っている商品、食べ物、を手に入れ、彼女と同じように日常に取り入れることで、ウェルネスを実現しているようだ。
グフィネスは、知ってか知らずか、まさにウェルネスが求められる時代に、自分がウェルネスそのものであるようにブランディング化し、成功を手に入れた。
彼女は天然キャラなら、まだ親しみがあるけれど、天然のフリなら、友達になれないタイプだ、絶対に!
これだけ成功していれば、やり手に違いない… 間違いなく後者だ!
まとめ
彼女の好奇心のまま突き進む姿勢や、世間知らずのただのアホなのか得体のしれない潔さ、正直さには好感がもてる。
彼女を通して、自分のウェルネスを見直すにはよいチャンスだ。
グフィネスはけた違いのセレブで、一般ぴーぶるな自分たちからは、手の届かない存在だ。けれど、特に女優業は、年齢とともに輝きは減り、希望の役や仕事の数も減るだろう。一方、自分のやりたいことも変わってくる。キャリアという点で次はどこへ向かうかという一般びーぶると同じ悩みをごく普通に持っていたはず。
そして、彼女は好奇心をもって実行し、ウェルネスという自己実現のために突き進んでいる。(良くとればの話だが)
バッシングされようが、WASP星からきた宇宙人と言われようが、嬉々として楽しんでいる姿をつい追ってしまう。