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来談者中心療法、本当に理解してますか?/キャリアコンサルタントになる!No.9

カウンセリングの理論と実技を、資格試験対策のため、取り急ぎ、当たり一辺倒に講座で学びました。

しかし、カウンセリングそのものに対して釈然としない違和感が残っています。

 

その違和感の根源は、来談者中心療法です。

なぜなら頭(思考)では理論の意味を理解できても、身体的(感情)には、個人の価値観、性格が邪魔するからです。

 

実は、体得が難しい!!

 

この体得なくして、試験合格は、ありえません。

 

カウンセリングの長い歴史の結果、カウンセリング技法の基礎として、この来談者中心療法はほとんどのカウンセリングに取り入れられているほど今では不動の存在です。

 

そのため、学科試験はもちろん論述試験でも、耳にタコができるくらいその重要性は叫ばれています。

 

ここは要領よく、試験合格のために、学科試験では知識を万全に整え、面接試験でもこの技法を体得しているフリをすれば、なんとか合格をもらえるでしょう。

 

でも・・・

本当にそれでいいのか?
今、このタイミングで、腑に落ちるまで理解しないのは本末転倒では?

 

来談者中心療法の違和感の理由を挙げると、以下の2点。

 

ポイント 違和感の原因

・「自己一致」の理解不足からくる不信感

・カウンセリングの折衷主義という方向性が見えていなかった

 

 

そこでキャリア理論からカウンセリング理論・技法に完全に舵を切り、探り始めました。

できることは、本を読むしかないのですが・・・

 

3冊目あたりで、しっくりくる解説が、目に飛び込んできました。

おかげで心のもやもやが一気に晴れました。

 

 

「自己一致」が、できない?!

 

お伝えしたようにロジャーズのかかげた来談者中心療法は、カウンセリングの基礎。
この技法が実践的に使えないのなら、キャリアカウンセリングをあきらめるしかありません。

 

おおげさでなく。

 

どんなものかというと、

人間には潜在的に自分で治癒できる力が備わっている、そのため、カウンセラーはあくまで、支援・サポートの側に立ち、寄り添っていく、というもの。

 

カウンセラーは指示的ではなく非指示的態度を求められます。

そのために求められる態度条件が6つ。
そのうち3つが特に重要。

試験合格のためには面接試験があるため、体得が必須になります。

 

①無条件の肯定的関心 →ありのままの自分を受容されることで自己受容を促す
②共感的理解 →自己理解を深め、肯定的自己概念の形成へ
➂自己一致・純粋性 → カウンセラーもありのままの自分・正直さ・誠実さ

 

この3つ目の「自己一致」が、正直、腑に落ちない…

 

言葉では、なんとなく理解できても、いざ実際のカウンセリング演習になると気持ちがついていけないケースが、ほとんど。

 

端的に言うと、

相談者が、なぜ、そんなことで悩むのか、共感できない、ケースが圧倒的に多い。

 

それでも、理論に従わなければ合格できません。

 

ここで葛藤がでてきます。

 

カウンセラーには、自己一致、つまり自分の気持ちに誠実であれ、と求められています。

 

それなのに、

 

自分は相談者のような人間ではないし、そんなことで悩まないから、
共感的態度や無条件の肯定的関心を持てない!!

 

気持ちと言動が一致しない、のは、自己一致、ではない、ということ。

 

そもそも自己一致ができないのなら、来談者中心療法をよしとするカウンセリングが、総崩れしてしまいます・・・

 

すると、まったく期待していなかった「論述・面談の問題集」に、解説が、真の意味が、分かりやすく書かれてありました。

試験対策という目的で、仕方なく、ドリル的に使っていたのに… 受験用参考書は要領よくまとめられていて受験生の強い味方です。

 

カウンセラーも人間。嫌い・苦手な人があって当たり前。
でてきた感情や気持ち(これを経験と捉える)を抑え込んだり見ないふりをするのではなく、ありのままの自分(感情)を認め、受け入れる、こと。

例えば、「このクライアントは嫌い、苦手だ」という気持ちをそのまま認める、ということ。

そして、その感情を質問にかえてゆく!!

(参考 柴田郁夫著 『国家資格キャリアコンサルタント実技試験(面接・論述)実践テキスト』)

 

ありのままを受け入れたその先も、はっきりと書かれていました。感動です!

 

そして、

嫌い、と思った感情はなぜ生まれたか?

これが実はカウンセラーの自己を見つめなおす機会につながり、
相談者と自分の考えの違いがどこにあるのか明確にする過程が相談者に気づきを与えることにつながる。

(参考 柴田郁夫著 『国家資格キャリアコンサルタント実技試験(面接・論述)実践テキスト』)

 

まさに目からウロコ!

 

ただし、その感情は、自分の中にとどめておくことが、来談者中心療法のカウンセリングの秘訣になります。

 

カウンセラーに求められる「自己一致」が、どういうもので、カウンセリングにおいて、どれだけ重要か、やっと理解できました。

 

自己一致(誠実、正直)が、カウンセリングの一番のコツ、カウンセリングをすすめていく推進力になる、ことが分かって、ホッとしました。

 

少なくとも、カウンセリング中、何を質問していいか頭が真っ白になることはなくなりそうです。

 

 

折衷主義に大賛成

 

来談者中心療法こそがカウンセリングの真髄、この技法こそが、あらゆるカウンセリング技法の基本として教え込まれます。

 

当初は教えられるままに、なんの疑いもなく受け入れていました。

 

さらに試験合格のためとなれば、なおのこと、その技法を頭、体にしみこませたくて必死。

 

ただ、講座が一旦終了し、時間がたてばたつほど、来談者中心療法への得体のしれない違和感は、大きくなっていくんです。

自己一致が腑に落ちない、という程度のものでなく、もっと大きな疑問です。

 

はてな

こぞって来談者中心療法をあがめ、それさえマスターすればキャリアコンサルタント(大儀としてカウンセラー)としては合格、って本当?

 

素人が生意気言うな、と言われるのは百も承知です。

 

前述した通り
来談者中心療法は、潜在的な自己治癒力を引き出すため、カウンセラーは非指示的な態度が基本です。

 

特にキャリアで悩んでいる人が、人生の決断といってもいい判断を下していくので、自分自身で責任を持ってひとつひとつ決めていく、というのは当然です。

元来、人は、他人から言われたことには従いません。

 

だからといって、相談者がみずから気づき、判断していくのを、カウンセラーはひたすら受け身で彼らの言うことを要約し繰り返す、そんな寄り添うカウンセリングは正直、じれったい…

 

この技法に慣れなければいけないのだろうか…

 

すると、折衷主義を説く本があるではありませんか!!

まあ、業界ではとても有名な一冊ですが…

 

國分康孝氏『カウンセリングの理論』。

 

國分氏の折衷主義に素人としては驚きと嬉しさがこみあげました。

 

さらに彼は、7つの代表的なカウンセリング技法・理論を、歯に衣を着せぬ語り口でずばずばと切り込んでいます!

それは、気持ちいがいいほど容赦ありません。

 

この著者は、この世界ではとても権威のある、有名な心理学者です。大阪出身だからか、遠慮のない文章が、かえって非常に分かりやすい。

 

 

来談者中心療法についても反論しています。

 

相談者とのリレーション作りなど、もちろんその功績をたたえてはいるものの、

ともに感じ泣くだけでは、治療ではない、問題の本質を見過ごすことになる

(引用 國分康孝氏『カウンセリングの理論』)

 

カウンセラーも型にはまった教科書風な動きしかできず、あまりにプロフェッショナルな態度になりがち。

役割に忠実になるあまり、自己表現をおそれるようになる

(引用 國分康孝氏『カウンセリングの理論』)

 

様々なカウンセリング理論・技法の中から、どういう場合に効果があるのか自分で試行錯誤しながら探していく、折衷主義を提唱しています。

 

もっと崩して言い換えると
相性のいい理論を、いいとこどりして、自分なりのカウンセリングを目指せばいいのです。

 

そのためには、知識もさることながら、もちろん経験、数をこなさなければなりません。

そのヒントが、この本に凝縮されていました。

 

7つのカウンセリング理論・技法について、それぞれ彼の見解がはっきり述べられています。そこに読み応えがあります。

 

素人にも分かりやすいように、長所、短所が表にもまとめられているんです。

やや古いですが、理論をきちんと理解できるので非常に役に立ちました。

 

結局は、とにもかくにもカウンセリングのはじめの一歩は、相談者との関係作りです。

それは、どのカウンセリング理論・技法・アプローチでも同じで信頼関係が地盤となります。

 

そのためには、やはり基本と言われる、来談者中心療法をまずはおさえること。

 

講座での、来談者中心療法を絶対としてあおぎ、やや偏っているような印象さえ持つ理由が分かりました。その正当性に確信が持ててスッキリです。

 

さらにカウンセリングのあり方、今後の方向性が見えたことで、未来さえ明るく感じました。

 

まとめ

 

自分が凡人であるのは自覚しています。

 

とはいえ、試験合格だけの知識で分かったフリをするのは、前時代的な大学受験を思い出します。実態のない偏差値教育ですね。

 

先人たちの知恵を踏襲するだけではなく、そこに自分なりの創造性、個性を、活かしたい。

なぜなら、断然、楽しくなってくるからです。

 

個性を発揮して創造につなげたいのは人間だれしもが持っている欲求、本能なんでしょう。

 

何をするにしても、自分を見失わないことは、幸せのひとつのあり方です。

 

■ 参考書 ■

-キャリアコンサルタントになる, 個性を磨く~経験×新たな好奇心~, 小さな好奇心も拾う
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