この本はドキュメンタリー映画「人生フルーツ」の、
その後を描いている。

映画「人生フルーツ」は、
里山の暮らしを夫婦2人で紡いでいる様子が描かれる。
丁寧な暮らしに裏打ちされる、ご夫婦の仲の良さに
心打たれる作品だ。
お互いがお互いをいたわりあいとても仲睦まじい。
だが、とうとう夫婦として最期の日が来る。

おひとり様になった奥さんの暮らしぶりが
非常に気になり、この本を手に取った。

あのステキな家で、奥さんは
旦那さんが生きていたころと変わらない暮らしを送っている。

2人が1人になることで、料理、洗濯の量は減るが
畑など力仕事は全部一人でやらなければならない。
奥さんはすでに85歳をすぎている。

誰かのために、何かやれることをさがし、
人のためになることをやる以外
私の生きる道はない。
〜(略)〜
これからはひとりで家をきれいにしたり、
畑をやったり、自分なりにやっていこう。
動きに動いてやっていく以外方法はないと思うから。
「ふたりからひとり」より引用

自分も余計なことは考えず
まずやれることをやって動けばいいんだ、と
励まされる。

頭が下がるのは、奥さんは、
常に誰かのためにやれることを探して実行している。
それが生きがいにつながっている。

「嫁として食べさせてもらうのなら、
家の中のことだけは、しっかりやろう」と
心に決めて今日まで
旦那さんのため
家族のために尽くしてきたようだ。

夫婦関係は今と比べて
すごくはっきりしている。
一昔前の、
男は外で仕事、女は家をまもる、というやつだ。
現在は、女性が仕事を始めたことで
夫婦のあり方が完全に変わってきた。
奥さんのような真似は、
自分には到底できそうにもないけれど
あの夫婦の仲むつまじさや農的暮らしはとても憧れる。

ところで旦那さんは強い信念の持ち主。
仕事が彼の信念にそぐうようなら辞めることも辞さない。
趣味嗜好もつよく、そのために家計が傾きそうになっても
奥さんは文句ひとつ言わずに、従った。

旦那さんは彼女の支えなしでは
とうてい生きられなかった、と年取って
強く感じているようだった。

年取って振り返ると
常にそばにいてくれた相手がいる。
支え合っていたことをお互いが自覚し
お互いに感謝しあいながらその日が来るまで
暮らし続ける。

まさに理想の夫婦だなあ。